アニメ 魔王学院の不適合者Ⅱ 8話「魔王のいない魔族の国」 補足説明・解説

前回解説  

アニメ 魔王学院の不適合者Ⅱ 7話「ただ一振りの剣の如く」 補足説明・解説 

 

 

 

そろそろまた魔王学院に適合してきましたか?魔王学院だけに

TLで拾った疑問とかも解説していけたらと思います。

 

 

 

涙花

涙花は、大精霊レノの涙を吸った花です。大精霊レノの涙は、精霊を生むと言われており(前話解説参照)、涙花はそれを蓄えたものであり(涙を蓄えておくレノ、几帳面だね)、枯れずに実を結めば、噂と伝承を精霊化し、精霊が生まれます。作中でレノも言っていましたが、これはレノに最初からあった力ではなく、あとから噂ができて、それが”あらゆる精霊の母*1”というレノの伝承に矛盾しないのでその通りの力がレノに宿った、というものです。

 

 

剣の秘奥

魔王学院には剣に関する話も多いというのも度々言っていますが。

魔王学院に登場する剣には、それぞれその根源に働きかけることで発揮できる真の力があり、それを”剣の秘奥”と言います。2つ以上秘奥を持っている剣もあります。

どれだけ使い手の魔力が高くても、それだけで使えるものではなく、無の境地に至り、剣と一体になることで初めて剣の秘奥に手が届きます(シンが剣の秘奥を発動しようとしたときに、レイが、シンの魔力が消えたように感じたのはこのこと)。シンは元々魔力が(アノスやレイたちよりは)少ないので、発動しやすいというのもあります(勿論そうは言っても、簡単にたどり着けるものではありません)。

 

シンは根源魔法が得意ではなく、もし転生していたら記憶は残っていなかっただろうというのは1期でレイの正体ががシンにミスリードされていた頃に解説しましたが。

次の生では二度と秘奥には届かないかもとシンも言っていた通り。自らの剣技を誰かに伝え残したかったのかもしれないな(意訳)、と原作ではアノス様は(心のなかで)言っています。

 

にも関わらず、シンは転生しませんでした。謎が深まります。

 

 

シンが見せたのは無刃剣カデナレイオスの秘奥が壱*2、<刹那>。その刃は数瞬前のレイを斬ったので、受けきれませんでした。魔王学院における剣戟では今後も剣の秘奥は度々登場します。

 

 

ところで原作ではシンはレイにああ言われたにも関わらず「”貴方のために”レイを早く片付ける」とまでは言っていません。

 

 

魔族に虐げられていた人間 アゼシオンの第七王位継承者・イガレス

詳しい説明が省略されていますがイガレスは魔族の捕虜だったところを、”配下が手荒に扱っていたので仕方なく”アノスが魔王討伐軍第三部隊に返した、といった経緯がありました。しかしその討伐軍は竜*3に襲われてイガレス以外全滅してしましました。国が分断された今、ディスヘイド(魔族の国)で、彼を助ける者が居るわけもなく、魔王アノスを頼るしかなかったので会いに来ていたという訳です。

 

 

「その憎悪の炎は、今俺を焼いた小さな火よりも、遥かに身を焼いていることだろう」

これは貶しているわけではなく、魔族の同胞の憎しみが大きいということを理解して受け止めている台詞ですからね(これを解説するのはなんだか風情が無い気もしますが……)

止まりはせぬ。言葉などでは。

そんなもので止められるようなら、俺は壁など作りはしなかった。

誰かが力尽くでも止めてやらねばならぬのだ。

 

どこからか浮遊してきた黒い粒子をアノスが掴む描写があります。ここで確信は持てないまでも、理滅剣が発動しているのではないかということに気づいています。

時の秩序からこぼれ落ちるほどの小さな矛盾であれば良い(何度も言いますが、大きな歴史改変は不可能)、彼らの行動は変わらないまでも、心が変わって、泡沫の夢が現実となれば――と、過去の悲しい出来事に願いを込めて、アノスは「2000年後に会おう」とデビトラ達に言います。

 

 

理滅剣ヴェヌズドノア、久々登場!

固有名詞が多い魔王学院ですが、理滅剣の名前くらいはそろそろ覚えてきたのではないでしょうか? 1期1章から登場している公式チートで、今、現世ではアノスを倒すためにアヴォス・ディルヘヴィアがヴェヌズドノアを掌握しようと頑張っているところです。

アノス曰く「時間概念の説明は難しい」らしいのですが、本来、過去には生まれなかった新たな命を、理滅剣の力で生まれたことにすることで、イガレスはこの二千年前から現代に至るまで時間の秩序に対して、特異な存在になり、簡単に言えば、イガレスが変えた過去については、時を司る神も認識できず、そのまま過去改変が成立する、ということだそうです。

じゃあ理滅剣で原因そのものを叩けば良いんじゃないの?と思うのですが。現状、結局何が原因でミサがアヴォス・ディルヘヴィアの噂と伝承を持って生まれ、シンがそれに加担しているのかが特定できていません。

またヴェヌズドノアは魔王の城デルゾゲードの魔力によって発動します(2期3話でテストを理滅剣で不正するために、精霊の国アバルトヘルンまで魔王城を移動させていたのを皆さん覚えているかと思います)。しかしアノスは当時ベノ・イエヴンを作った直後で魔力が残っていませんでした。ですからデルゾゲードに魔力が残っていませんでした(実際、一度イガレスに使ったら魔力が尽きて、消えてしまいました)。

 

ところでヴェヌズドノアといい壁の文字といい、アノスの時間遡行を知っている誰かがアノスに味方しているようですが……?

 

 

壁の文字解読

アノスのファンが書いたんでしょうかねぇ。(なろう版のこの回の作者コメント)

 

こちらは解像度が足らなくて読めなかったので、原文そのままです。

 

 

創造神ミリティア

「この世界を創造した神であり、共に壁を作った」とアノスが言っていましたね。魔王アノスが四界牆壁を作り転生する際にそれに協力した人間、精霊、神がそれぞれ勇者カノン、大精霊レノ、そして創造神ミリティアです。「ミリティアはこの世界を愛していた」「優しく、健気な神だった」とアノスが言っていた通り、この世界を創造した優しい神ですが、すでに創られたこの世界に対して、できることは限られています。たとえば世界を新しく作るということは、今のこの世界を壊すことと同義です。*4ですからミリティアは世界への干渉は最小限にして、見守るという”最善の択”を取っていました。

 

 

原作から省略されている要素(一部)

・ティティたちが「首のない魔族を見た」とアノシュに伝える前。アノシュにアノスのモノマネをせがみ、アノシュが「戦争は俺からキノコグラタンを奪うから、守るために命をかけて戦う」(意訳)といったことを言い、ミーシャが「実話?」と訊ねる

・ミーシャが「助けると思った」と言ったところ。アノスは、自分がイガレスを助けるとは自分では思っておらず、身体が咄嗟に動いたに過ぎないと考えていた。「アノシュは優しい」

・アノスが墓前で感謝を述べる前。ミーシャに笑ってあげてと言われた後。笑いには理解があったつもりだ。よく道化師や旅芸人を魔王城に招いては、宴を開いたりしていたものだ。だが、もしかしたら、それで俺が笑いたいのだと配下たちは思ったのかもしれぬな。とアノスは考える

 

 

 

 

「エソア」は「絵空事」と「愛」を組み合わせた言葉だそうです。

 

 

 

*1:いままで記事に書いてきた通り、原作では”あまねく精霊の母”ですが、多分わかりやすい表現にしたんだと思います

*2:本当に余談なのですが小説家になろう連載当初、秘奥の表記は”一、二、三…”だったのですが、発動時の台詞の基本形が「◯◯剣、秘奥が●――<◯◯>」(●に任意の数字)という感じだった為、横書きの小説家になろうでは「一(いち)と―(ダッシュ)の区別がつかない」といった声が上がり、今の”壱、弐、参…”表記に修正されました。

*3:原作者が知っているドラゴン。アノスはとっくに滅んだと思っていたようですが。詳細は2クール目をお待ち下さい

*4:神の力というのは、この世の秩序そのものであり、奇跡を行使すれば、自らの持つ秩序自体に歪みが生じ、それはこの地に生きる人々へ理不尽という形になって降りかかります。それでも、他の多くの神族たちは構わず力を使いましたが、ミリティアはそうはしませんでした。